焚き火物語・・焼べて、爆ぜて 〜ソロキャン直火編〜

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はじめに

3月某日、関東某所のフリーサイトキャンプ場へと足を運んだ。今回のソロキャンプのメインは焚き火。近年直火NGのキャンプ場が増える中で見つけた直火可能な穴場キャンプ場に、生憎の空模様でも足取りは軽い。

キャンプ場に着くなり平坦な場所を確保した。頭の中でレイアウトを考え、風向きや座った時の眺望なども気に掛けながら、お気に入りのギアを設営していく。キャンプに行く度に新築の家を建てるようなものなのだから、キャンプとは何て贅沢な遊びなんだろう。と毎回思う。


かまど造りに無駄な拘りを

直火の場合、かまど造りから焚き火が始まる。今回はソロなので必要最低限のサイズに石を組むのだが、石の形や数などを試行錯誤しながら必要以上にこだわる。時間はいくらでもあるし、決まった正解が無いものは楽しい。

アクアリウムをかじっていたころに、水槽の石組みに挑戦したことがある。その時も時間を忘れて石を組んでいたけれども、今回もまさにそんな感じ。

石を組んでみて思うのだが、想像以上に石同士の支え合う力が重要なことに驚く。一通り組み上げた後に、気になる石を少しずらしただけで、あっという間にバランスが崩れて周りの石が倒れ始める。その後は最高のバランスを見つけてやると躍起になり、気分はすっかり石工だ。

専門の方からすると常識的な手順や手法があるのだろうけれど、素人なりに小さな発見をしながらの作業もまたいいものだ。


新ギアの火入れを愉しむ

ようやく納得のいくかまどが出来上がったら(それはいつも驚くほど平凡な仕上がりなのだが)、早速小枝を使って種火を作ろう。じわじわと種火が育ってくる時の気持ちの高鳴りは、焚き火好きなら誰しもが共感してくれるのではないだろうか。

一通り薪が燃え始めたらもう安心。残りの薪の量と、今回の焚き火でやりたいことを頭で考えながら、そそくさと次の作業に移ることにした。燃え始めた火は待ってはくれないし、やりたいことは山ほどあるのだから。

まず最初に行ったのが、このキャンプに合わせて用意した新たな焚き火関連ギアの火入れ式。

ノーブランドのグリルブリッジと、ペトロマックスのパーコマックス。

グリルブリッジは小回りが効き、好きな時に簡単に設置が出来るので、直火をする今回に合わせて揃えておいたもの。ロストルと異なり幅が狭いので不安定感は否めないが、ソロ用の調理であれば問題はなさそうだった。

パーコマックスはミーハー心から手を出ししまったペトロマックス。上から吊るすための取っ手が付いてないのが、焚き火用としは致命的な気がしなくもないが、分かっていても買ってしまうのがミーハー心ってやつなのだろうと思う。


焚き火料理を作った感

楽しい火入れの儀式を自己満足の世界の中で慎ましく執り行った後は、ソロキャンならではのシンプルな焚き火料理に取り掛かる。

まずはじめに、即席の焚き火テーブル作りから。と言っても平らな石をかまどの横に並べるだけ。今回はこれで十分。

簡単な具材で作るピラフとインスタントスープ。要は焚き火で仕上げることが今回の焚き火料理の定義ということにしておこう。外で食べる料理の味は2割増というジンクスを頼りに、あとは勢いとスキレットに任せてみることにした。

設営完了後からテントに入るまで、ほとんどの時間を焚き火の前で過ごした。火を前にすると、いつも以上に本能のままに動くようになるのだろうか。腹が減ったら、シンプルな食材を焚き火で仕上げ、平らげる。胃も心も満足な時間をたっぷりと堪能できた。


焼べる、爆ぜる、焼べる

焚き火台を利用した焚き火の場合には、ある程度制限されてしまう薪組みも、直火なら好みの形に組み上げることが可能だ。今回はオーソドックスなやぐら型に。炎が上へ上へと昇っていく様は本当に美しい。料理のことを考えると並列型の方が効率は良いのだろうが、ソロキャンの焚き火に効率性はそこまで重要じゃない。

この時期のキャンプ場はまださほど混んではいないので、暗くなるとあたりは静寂に包まれる。

生命が宿っているかの様に常に形を変え続ける炎と、まさに静寂を切り裂くという表現がぴったりな薪の爆ぜる音を楽しみながら時間と悩みを忘れ夢中に。

無駄な感傷に浸る

十分に焚き火を堪能した跡、その退廃的な雰囲気がどうにも嫌いではない。上手く表現できないが、全てを出し切った後の倦怠感と達成感が入り混じった様なその表情に、いつも心を動かされる気がする。

中々全力で何かをやり遂げられない自分自身を鼓舞されている気にでもなっているのだろうか・・。などと無理やりこじつけた感傷に浸ってみたりするのも毎度のこと。


おわりに

やりたいことはまだまだ山ほどあったけれども、全ての薪が灰になったところで今回の焚き火は終了。残った灰と、拘り抜いて組み上げた平凡なかまどを綺麗に片付け、感謝の気持ちとともに今回のキャンプ場を後にした。

次はいつこれるだろうか。その頃にはきっと、今回の満足いく焚き火で少しは減ったはずの「やりたいことリスト」の項目が、また溢れんばかりになっているのだろう。そう思うと、やりたいことが減らないという幸福さに、思わず頬が緩んだ。

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CAMPIC編集部

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