【ワイルドでカッコいい】ブッシュクラフトキャンプ体験記 in オーストラリア

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キャンプツアーに拾われる


1995年、僕はオーストラリアのシドニーからパースまで約4,500km自転車横断の旅をしていた。
連日100km以上走っているとすぐにお腹が減るので、よくピザの食べ放題3.99AS$を利用していた。

「ウプッ・・・食べ過ぎた~ こんな状態で昼から走れるかな~?」
食べ放題のピザ屋から出てきた僕に、怪しいカーボーイハットのおっちゃんが近づいてきた。

「ワイルドキャンプに参加しないか?」
「無料でいいから・・・。」
「その代わり日本でこのツアーのことを宣伝してくれ!」

アドベンチャーツアー事業を始めたばかりで客を探していたようだ。

毎日キャンプしてるし・・・(笑)
声かける相手を間違ってるでおっちゃん!!

断ろうと思い「オーストラリアを自転車で旅している最中なので無理です!」と答えると、「ノープロブレム!」とおっちゃんが自分の乗ってきた車を指さす。

車はランクルで後ろにトレーラーも牽引している。いかにもアウトドアの道具満載だ。
なるほど確かに!…積めるよな。断り切れないな・・・。

「じゃあ、今から行こう!」
「今から・・・?」

「他の参加者は?」と聞くと、お前一人だと言う。

怪しい・・・怪しすぎる!
このまま、車で山奥まで連れて行かれて襲われても助けも呼べない。

おっちゃんはどこかに電話をしている。奥さんと会話しているようだ。当時は英語もろくにできなかったけど、その会話を聞いていると不安ながらも直感的に大丈夫かなと思った…。

キャンプ場じゃなく牧場?

少し疑いながらもランクルに自転車も積んで乗り込んだ。ランクルは2時間ほど山に向かって走った。かなり田舎まで走ってきた。そして着いた所は牧場。やっぱりヤバイ人かも・・・。

えっ?どこが牧場??と思うくらいの広大な敷地だ。四輪バギーや四駆の車で移動しないと端から端まで歩ける距離ではないし、向こうの端が見えない。どうやら友達の牧場らしい。その友達家族も様子を見に来た。ちょっと一安心!?

おっちゃん自慢のランクルで牧場の奥地まで走り、キャンプ地らしきところへ到着。

焚き火の跡のある場所でサバイバルキャンプが始まった。あたりは赤土で何もない平原。

ここでさっき知り合ったばっかりのおっちゃんとキャンプか〜

廃車でドライブ⁈

少し不安はあったけど、オージー(オーストラリアの)スタイルのキャンプに興味はあった。

まずはカマドの準備開始。手伝おうと思ったが手際よくあっという間に設営されていく。地面に打ち込んでいくペグやフックなども手作りでカッコイイ!カマドができた後は「ドライブに行くぞ」と誘われた。

驚いたのは廃車になって牧場に放置されていると思っていたスズキのジムニー。おっちゃんが「Suzuki is wonderful!」と叫びながらエンジンをかける。えっ動くの?!

ボディもぼろぼろでフロントガラスもない。しかし屋根には夜でも走れるように特大のサーチライトが搭載されている。

「君は免許持っているか?」

YES!!早速、おんぼろジムニーを運転させてもらう。ボロボロだけど現役!これが働く車の姿だな。脱走した羊をジムニーで追走し柵の中に戻したり、毛刈り体験をさせてもらったりもした。その後、野生のコアラやオオトカゲを見に連れて行ってもらった。

とにかくワイルドですべてが楽しかった。

バケツ振り回す紅茶の飲み方

オージービーフを焚火で焼き、缶詰めビーンズを皿に添え、肉をがっつく。そしてバケツみたいな鍋で湯を沸かし、その中に直接茶葉を入れた紅茶をいただいた。バケツ紅茶は正式名を「ビリーティー」という。バケツみたいな鍋で茶葉ごと煮炊き、それをぶん回し、遠心力で茶葉を沈めてから飲んだ

これって茶こしを忘れただけちゃうの?と思ったが、後から調べてみたら本当にオージースタイルの飲み方だった。まあ野外限定の淹れ方だと思うけど・・・。

オーストラリアの寝袋

寝床はタープの下に広げた寝袋のみ。帆布できた寝袋とテントを合体させたような寝具で、帆布は分厚く重たかった。確かスワングというメーカー。焚き火の匂いが染みついていたけど、寝心地のいい寝具だった。現代で言うところのビビィサックみたいなものかな。今のはウルトラライト系だけど。

明かりが何もない夜の牧場は当然、真っ暗。焚き火に薪をくべながら寝転び空を見上げると、そこには星が無数にあり、夜空に吸い込まれるような錯覚を覚えた。

このキャンプスタイルって今流行りのブッシュクラフトキャンプ?そんな言葉もなかった時代、自分のやってきたキャンプがすべてママゴトに思えた。何もかもがカルチャーショックでおっちゃんのやることすべてがワイルドでカッコよすぎた。

これが僕のキャンプ原風景。
Wild camping in Australia ’95

オーストラリアのブーツ ~番外編~

オージー(オーストラリア人)はBlundstoneというブランドのサイドゴアブーツををよく履いていた。オーストラリアの離島・タスマニアのブランドで、気取ったカッコよさではなく、ファーマーたちが愛用する普段着扱いのワークブーツという感じだ。ドロドロ、表面も傷だらけ・・・でもそれがカッコよかった。

当時このブーツはオーストラリアのホームセンターでも売られていた。確か4,000円ぐらい。2足日本に買って帰った。それからはオーストラリアに行く友達に頼んで買ってきてもらったりして今までに5足ぐらい履きつぶした。最近は日本でも売っているけど、かなり値段がする高級ブーツだ。

この記事を書いた人

Knock on wood(ノックオンウッド)

意味は木製品を叩いて(ノックして) 「幸運が続きますように〜」 というおまじないの言葉。
ネイティブの英語圏ではすでに死語らしいのですが・・・。
キャンプでも使える木製ギアを作っています。30代半ばまで自転車でアメリカ横断、ユーラシア大陸横断、オーストラリア横断など世界をキャンプしながら旅していた。

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