社会人二年目
なんだか毎日ぼんやりと「何かしないと」と思いながら過ごしていた。
仕事があまり充実していなかったのと、自分に合わないなと思いつつ、周りの先輩の人などが暖かかったので、なんとなくぬるま湯につかるようにその場を動くこともできずにいたのだ。
しかし頭では「何かしないと、わたしはこのままだ」と思っていたところ、
ずっと気になっていたのは「一人旅」と「海外」。
憧れて検索しては、一人旅を謳歌するワカモノたちの勇気や行動力に胸打たれては、自分に失望していた。
「海外でも旅をしたら、何か変わるのかな」
なんて思ったりもしつつ、
英語もしゃべれない自分が海外に行くなんて、とてもじゃなくても想像がつかなかった。しかし、働きながら海外で過ごせるワーキングホリデーの制度についてはとことん調べつつも、あと一歩勇気がでないでいた。
そもそもわたしは国内でさえ「一人旅」をしたことがない。
まずどこに行けばいいのかもわからなかった。女性一人を受け入れてくれる(歓迎してくれる)宿は一体どこにあるんだ?
雑誌で紹介されているようなキラキラしたところなんて、とてもじゃないけど行けない。
でも全く情報もないのも恐ろしい。一人でうろついて、「あの人傷心旅行かな」なんて思われたら、とんでもない!と思っていた。
そのわずか二年後、わたしは一人でキャンプに行くことになるとは思ってもいなかった。
きっかけは、自分が「女子キャンプ」というコミュニティを作ったメンバーたちと、よくキャンプに行くようになって、とある事件が起こったからだ。(この突然キャンプのコミュニティを作ろうと思ったという経緯は次回に)
当初、まさかこんなわたしがキャンプにはまるなんてことと、
キャンプを通してともだちがこんなに急に増えるなんてということで、
驚きとうれしさのあまり毎日浮かれていたのだ。
何回目かのキャンプのとき、
わたしはお酒で思いっきり記憶をなくしたのだ。
多少なくなるどころか、全くない。
頭が痛いなぁと思いつつ、朝テントを出るとなぜかみんなから同情の眼差しを受けていた。
話を聞くと、べろんべろんになったわたしは寝袋まで運ばれたのにも関わらず、
ゾンビのごとくまたその寝袋から這い出て戻ってきたそうだ。
とにかくひどかった夜だった(覚えてないけど)。
そして、めちゃくちゃ周りから怒られた。
なんだかおかしい話だが、わたしはそれで
と思ったのだ。
人から怒られたからじゃない。私は自分の浮かれ具合の反省はもちろんあるけど、
自立したキャンプ(自分のことは自分でやる個食個泊)が好きだと言いつつ、結局誰かのお世話になって寝袋にまで入れてもらうなんて、本末転倒なお話しだと気づいたからだ。
わたしのなかで、ひとりキャンプは「甘え」への断ち切りだったんだと思う。
よく聞かれるのは、ここでなぜ、
通常の宿でのひとり旅じゃなく、ひとりキャンプを選んだのか。
実は、その頃キャンプばかりしていたわたしにとっては「知らない宿に泊まる」よりも「知っているキャンプ場」のほうが身近に感じていたので、ひとり旅の場所として行きやすかったのだ。
そんな単純な選択だった。ひとり旅がひとりキャンプになることは
なんら不自然なことではなかったのだ。
さっそく実行にうつした
はじめての一人キャンプは想像以上にハードだった。
車じゃなく電車と徒歩だったのもあるが、駅からキャンプ場まで2km以上あるうえ迷子になるし(グーグルマップがなかった)
1月のマイナスの気温のなか、唯一の暖である炭をつけれないし、バーナーもないからごはんも作れないという恐ろしい体験をした。
何とか生きて帰った途端、家のベットに倒れ込んですぐ寝た。
寒すぎてほとんど寝れなかったキャンプは、後にも先にもこれが一回きり。
誰かがいたら、道迷いも一緒に楽しめるし、炭がつかなかったら相手のバーナーを借りてごはんを温めてたかもしれない。
自分のダメダメさを思い知った。
(でも事前準備をしっかりしていれば、国内でしかも自宅から2時間以内のキャンプ場で、
ここまでボロボロになれるひとりキャンプもそうはいないと思うのでご安心を)
それでもわたしは、充実感でいっぱいになっていたのだ。
大失敗と言われてもおかしくないレベルなのに、
単純なわたしは、家のベッドから目がさめたとき、こう思った。
そう、若干アホなのである。
つづく