はじめに
キャンプブームにより種類が豊富で、物よっては手軽に購入できるようになったキャンプギア。毎年シーズン毎に次々と新しいキャンプギアが発売され、目移りしてしまうこともあるかと思います。実際に何回か使用していると少なからず飽きてくることがあったり、周囲の人が愛用しているものや、雑誌やネットで紹介されているものが良く見えてしまうこともあります。
今回は私にとって飽きがきにくく無くてはならない存在となった、経年変化を楽しめるキャンプギアを紹介したいと思います。実際の使用感を含めオススメな点を紹介できればと思います。
紹介する8選はどれも素材が異なるものの、使用するごとに見事な経年変化を遂げました。キャンプで使用するたびに次はどのように変化するのだろうかと楽しみになり、何度も使用しても丈夫で壊れることなく、育てる楽しさを教えてくれたキャンプギア達です。毎回の変化が私自身のオリジナルなキャンプギアとなり、飽きることなく長く愛用するほど愛してやまないものです。キャンプを通じて共に成長し変化していけるようにと私に示してくれたキャンプギアです。
そんな新たな価値観や楽しさを教えてくれたキャンプギアを今回は紹介しながら、皆さんの愛用されているキャンプギアにも長年愛着のわく物が見つかれば幸いです。
経年変化を楽しめるキャンプギア
①ホンマ製作所 ストーブコンロセットAPS-48DX:ステンレス
- 本体サイズ:W280×D480(煙突口まD520)×H445(煙突含:D655×H1830)㎜
- 素材:ステンレス
- 重量:約6.9kg(本体のみ:約4.6kg)
- 生産国:日本
- 薪最大長さ:400㎜まで投入可能
- 最大熱出力:3000kcal
- 暖房面積:10~15坪
素材はステンレスを使用しています。ステンレスは一般的には錆びにくく、変形もしにくいと言われています。
そんな中でも、何十回と使用していくと少なからず薪ストーブの高出力により徐々に焼けてきます。1~2回目から焼け跡がほんのりついてくるものの、5~6回と使用していくと徐々に茶色の焼け跡が濃くなってきました。
またホンマ薪ストーブはサイズが大きめのため、雨天時のタープの傍や雪上の上、風で焚き火が行えない日など比較的過酷な環境下でも使用してきました。安定した焚き火を楽しめ、春先や秋口に寒さも凌ぐことができます。調理にも向いているため天板での調理などにも使用して折溢してしまうことなどもありました。そのため焼け跡以外にも天板を中心に少なからず錆びてしまうことがありました。
どんな環境下にも耐えてくれながら使用したことで焼け跡や錆び具合が出て、またステンレス自体の輝きがまだあることで、今では七色のように光る薪ストーブとなりました。このような薪ストーブはあまり周囲で見たことがありません。よく周囲から「良い焼き色してますね」と言われることも多く嬉しいです。
②belmont 焚き火台TABI:チタン
- 本体サイズ:237×360×170㎜
- 収納サイズ:178×360×15mm
- 素材:チタン、ステンレス
- 重量:423g
- 生産国:日本
- 耐荷重:火床15kg、網5kg
素材には火床を中心にチタンが採用され、軽量性とコンパクト性に特化した焚き火台です。バッグパックやバイクパックに適した薄さとコンパクトさです。チタンは軽さがまずは一番の特徴に挙げられますが、その軽さは高比強度が勝っているからと言えます。重さあたりではアルミや鉄、ステンレスにも強度が勝っているため軽く薄くすることが可能です。
また熱にも強いという特徴があります。チタンは直火で熱が加わることで「ヒートグラデーション」と呼ばれる青色へと変色する作用をもっています。シングルマグカップなどを火で炙るとキレイな青色へと変化しますが、私自身は焚き火をする中で徐々に青く変化していくことに惚れ惚れとしました。焚き火はどうしても煤が付くため洗いこむ必要がありますが、ある程度煤を落とすと淡い青色からキレイな青色へと変化していく様子が見られます。チタンブルーは本当に美しいです。
ステンレスや鉄の焚き火台とはまた違った趣のある焚き火台であるため、2台目としてもっていても良いかと思います。すごく軽くて持ち運びがしやすく、サイズ感の側板を外せば40cm程度の長い薪も燃やすことができるため、焚き火好きにはオススメの1台です。
③EVERNEW BACKCOUNTRY ALMIPOT:アルミニウム
- サイズ:径122×深さ67㎜
- 素材:本体アルミニウム(アルマイト加工)、ハンドルステンレス
- 容量:650ml
- 質量:140g
- 生産国:日本
元々はLotusというブランドのキャンプギアでしたが、EVERNEWらしく日本製として生まれ変わり復刻したキャンプギアです。名前の通りアルミニウム(almi)+お鍋(pot)が合わさり、almipotという商品になりました。炊飯や調理が焚き火でもしやすい構造や素材、サイズ感が絶妙だと思います。アルミニウムはアルミニウムやステンレスほどの強度やチタンほどの軽さはないものの、熱伝導性が非常に優れており、調理や温めに非常に適した素材であるためキャンプギアではクッカーに主に用いられることが多い素材です。
このalmipotは焚き火で使えるようにアルマイト加工のみとなっていて、特殊加工はしていないため遠慮なく使用できます。厚さ0.8㎜も程よい厚さで丈夫さがありながらも熱をしっかり伝えることができ、火加減の難しい焚き火での炊飯なども2合程度までなら比較的簡単に行えるのが特徴です。焚き火での調理に向いていることからアルミニウムにつく煤や擦れ感がとても気に入っており、敢えて磨きすぎないようにしています。煤だらけですが、それほど毎回活躍してくれるキャンプギアです。
またEVERNEWはスタッキングしやすいギアが多いため、組み合わせる自由度の高さがあることが魅力の一つです。私はソロキャンプかデュオが多いため、他のクッカーをこのalmipotの内側へコンパクトにまとめることができるのは非常にありがたいです。
焚き火での使用が遠慮なく行え、湯を沸かす、炊飯をする、煮込む、焼くなど何にでも愛用できるので非常に重宝しています。
④Neru Design Works nerunobag:タイベック
- サイズ:260×260×マチ100㎜
- 素材:タイベック、裏側保冷断熱シート
- 重量:64g
- 生産国:中国
タイベック地はテントやグランドシートにも用いられているほど優れた透湿・防水機能を備え、汚れにも非常に強い素材です。この素材はアメリカのデュポン社が開発した高密度ポリエチレン不織布素材です。タイベック素材は布素材の中では比較的経年変化の出やすい素材です。
中身の防御には適していますが、表面部分のシワができやすく水濡れなどで色落ちもします。そのためこのバッグもキャンプで使用するごとに徐々に色落ちやシワクシャになる現象が見られます。使用感が出やすい素材であると言えます。使用すればするほど比較的早期から変化が見られやすい素材です。
またこのバッグの機能としてはクッカー類の収納のみでなく、裏側の保冷断熱シートの効果によりある程度のドリンクなどの保冷効果にも期待できるため、補助的なクーラーバッグや真夏以外での使用には大活躍してくれます。容量も500mlのペットボトルが数本入れることができます。
タイベックの商品はそれほどキャンプに行かない方でもレジャーシートやエコバッグ、ポーチなどにも採用されていることが多いです。愛用しやすく経年変化を愉しみやすいためオススメです。
⑤MUNIEQ X-MESH STOVE Large:ステンレスシート
- サイズ:272×67㎜(組み立てサイズ直径82×高さ67㎜)
- 素材:ステンレスシート
- 重量17g
- 生産国:記載なし
筒状にでき、内側にアルコールストーブや固形燃料を使用することで風防兼五徳となるメッシュシートです。約38,000個もの小さな穴が集まってできていて、風は通しにくいものの光は通すため、炎の揺らぎを愉しむことができます。
ちなみにsmallとLargeの2サイズで展開されていますが、LargeサイズはEVERNEWのチタンマグポット500の底溝にピッタリとフィットし、とても安定します。使用しない際はマグポット内側へ収納することが可能です。
徐々にステンレス特有の焼き色が付いてくるため、この焼き具合いを愉しむことができます。今人気のメスティンで調理・炊飯する際の五徳に使用される方も多いようです。
メッシュシートを扱う際に指紋がついてしまうとその部分の油分を中心に焼けてしまいます。キレイな焼き色入れるためにはなるべく端を持ちながら扱い、使用する前はウェットティシューなどでキレイに拭き取るといい具合に焼き色がついてきます。
⑥trangia アルコールバーナー:真鍮
- サイズ:直径750×450㎜
- 素材:真鍮
- 重量:110g
- 使用燃料:エチルアルコール/メチルアルコール
- タンク:100㏄
- 生産国:スウェーデン
アルコールストーブは火力調整ができ、鎮火もしやすいtrangiaがオススメです。アルコールを注ぐ口から注ぎ点火するだけなので炎も扱いやすく、見ていて焚き火をしなくても癒されるキャンプギアです。目安としてタンクの2/3程度で約25分は燃焼します。ガス缶と比較し寒さにも負けずに火力を維持し強いです。
素材の真鍮は銅と亜鉛の合金であり、特に亜鉛が20%以上のものを指します。強度やしなやかさのバランスがとれた金属と言われています。管楽器にも使われています。真鍮は使っていくほどに色が深くなり光沢感が失われ霞んでくるのが特徴です。空気中での酸化や手垢が残りやすいことが要因と言われているようです。そのため真鍮はキャンプギアの中では敢えて良く手に持つシェラカップやマグカップ、火ばさみに用いられることも近年は増えています。
この経年変化から味わいある色合いや霞んできた色合いであることからの使用感、アンティーク調の輝きが人気となっているようです。火器として扱うことでより黒く霞んできやすいアルコールストーブもオススメですが、手に馴染むシェラカップなんかを育てるのも良いかもしれませんね。
⑦Blundstone ORIGINALS #500:レザー
- 素材:アッパー スムースレザー
- 生産国:ベトナム
- サイズ感:大きめ
アウトソール TPU
足入れ良く作られているため装着のサイズ感はやや大きめ
サイドゴアブーツの元祖として世界中で愛されています。伸縮性の高いサイドゴアやクッションに富んだソールなどの高い機能性を備えています。このブーツはファッション性に富んでいるだけでなく、アウトドアにおいても重宝しています。
このブーツの魅力の一つ目は、経年変化を楽しめ、雨天にも対応できるレザーと構造です。オイルをたっぷりと染み込ませながらも水にも強いタスマニアスムースレザーを採用し、天候に左右されやすいアウトドアにおいても最適です。そのためキレイにお手入れする必要なく、ガシガシと履きながら経年変化を愉しむことがオススメです。つま先の方の擦れ具合いがとてもカッコよく仕上がってきます。またアッパーとソールの一体構造のため境目からの水の侵入の心配が限りなく少なくなります。
二つ目が着脱のしやすさです。サイドゴアの伸縮性から立ったまま容易に脱ぎ履きが可能という点です。大抵のブーツは脱ぎ履きが大変なため、テント内と外の行き来に靴の着脱が簡単に行えることはありがたいです。
このように丈夫なレザーを使用することで雨の日でも気にせず使用でき、脱ぎ履きもしやすいまさにアウトドアにぴったりなブーツであり、普段使いもできることから経年変化を愉しみやすいお気に入りのブーツです。
⑧FEUERHAND フュアーハンドランタン 276 ジンク:ガルバナイズドスチール
- サイズ:150×260㎜
- 素材:ガルバナイズドスチール
- 重量:520g
- 原産国:ドイツ
- 燃料:スターパラフィンオイルまたは灯油
- タンク容量:340ml
別名ハリケーンランタンとも呼ばれる、風にも強く安定して燃焼することで灯りを照らしてくれるランタンです。フュアーハンドは100年以上前からハリケーンランタンを製造する伝統的なブランドです。
本体は亜鉛メッキ処理され錆びにくいと言われているものの、他の素材と比較するとスチールならではの錆び具合が出てきます。スチールは軽量化が課題と言われているものの、その剛性の高さと重量からガッチリとした作りの物が多く、見た目の良さに反映されているように感じます。
ハリケーンランタンは明るさが5W程度と、LEDランタンと比べて決して明るいランタンではありません。サイト全体を照らすわけではありませんが、ゆったりとした炎の揺らめきを眺めることでの趣があります。
また上部中心に焼き色が付き始め錆びやすさもあります。この点の経年変化を私は楽しんでいます。なのでホヤ部分以外をあまり手入れすることがありません。少し前の写真ですが、友人のように何年も使用することでランタンが全体的に変化・成長してくるとのことで、私のハリケーンランタンも今後の成長が楽しみで仕方ありません。今後もキャンプに毎回連れていきたいキャンプギアです。
おわりに
今回ご紹介した8選は素材や構造が異なる中で経年変化を遂げたギアばかりです。また用途も同じになってしまっては使う頻度が減ってしまうため、使用用途も考慮しながら気づけばよく使っているキャンプギアでした。
そのため経年変化を愉しむためには、扱いやすさや組み立てやすさ、持ち運びやすさやお手入れのしやすさもより良いものが、毎回使用することに繋がり徐々に成長していくことに繋がると思います。
私のキャンプギアも一変化の仕方のため、ぜひ皆さんのそれぞれのオリジナルな成長を遂げるキャンプギアとともにキャンプを楽しむことができれば幸いです。