はじめに
今回はホンマ製作所の薪ストーブ「ストーブコンロセット APS-48DX」を紹介します!
冬キャンプ中、何を使って暖をとるかということは、冬キャンプをより快適に、より楽しく過ごすための課題だと思います。高出力なストーブとなると、薪ストーブか石油ストーブですよね。石油ストーブの手軽さに比べると、薪ストーブはどこか少しハードルが高く、キャンプで導入する難しさを感じているキャンパーさんも多いはず。
でも薪ストーブは暖をしっかり取れて、かつ調理の熱源としても大変便利なアイテムなんです!また実際に焚き火と同じような火を操る楽しさや、薪のパチパチとした燃える音、炎を実際に見たときに感じる揺らめきは私たちに癒しを与えてくれます。
紹介するホンマ製作所「ストーブコンロセット APS-48DX」は、私が購入してから3年経過してもまだまだ現役バリバリの薪ストーブ。このAPS-48DXを使用してのメリットやデメリット点、付属品や使用上の注意点などを述べたいと思います。
これを読んでいただき、薪ストーブとともに快適な冬キャンプライフを送っていただけたら幸いです。
薪ストーブの種類
キャンプで使用する薪ストーブは比較的コンパクトな物が多いものの、天板で調理をすることに長けた大きめの物もあります。素材も鉄製やステンレス製、チタン製があり、それぞれ熱の伝導性が異なるため暖かみも変化してきます。
特徴を以下にまとめます。
ステンレス製
さびにくく、比較的軽量で、汚れが落ちやすいです。使用の手間があまり掛からないと思います。しかし鉄製よりも値段設定は高めとなり、熱の伝導性もそれほど高くないため本体が温まるまでに少し時間を要します。とはいえ本体は煙突自体も温まると高温になるため、テント内で使用する際には煙突プロテクターの使用や耐熱性の高い布の使用が必要になります。熱伝導性と重量感のバランスの良さから商品展開も多く、サイズも様々な物があります。
鉄製
鉄は熱伝導性が高く、本体や空間を温めることに長けています。ステンレス製に比べれば安価な物が多く薪の使用量も比較的少量で済むため、コストパフォーマンスが優れていると思います。実際に私も鉄製品の薪ストーブの前で夜を過ごしましたが、風が弱ければ-5~6度でも屋外で快適に過ごせるほど暖かく感じました。
しかし水気に弱くとても錆びやすいのでお手入れが大変です。実際にそのまま使用してもかっこいいものですが、サビが気になる方はオススメできません。また重量もあり、煙突などの熱伝導性の高さからテント内への薪ストーブ設置はできないものと思われます。
写真は私の師匠の鉄製の薪ストーブです。約250回程度は使用したそうで、錆びや焦げ具合いが私は好きです。またかなりの熱を発するため屋外でも非常に暖かいです。
チタン製
上記2つと比較すると圧倒的な軽量性とコンパクト性があり、キャンプでの携帯性に優れています。軽量さをメインにしているため薄型でサイズのコンパクトな物が多いと思います。錆びにくい一面がある一方、組み立て型の物がほとんどなので手間が一番かかるかもしれません。コンパクトさ故に熱伝導性が低く、温まりも遅めの傾向です。テント内での使用には比較的向いているかもしれませんが、屋外での使用ではあまり暖かくならないと思います。また構造が歪みやすい一面もあるようです。
以上の特徴を踏まえると、一番バランスが良く使い勝手が良いものはステンレス製であると私は考えます。大きく長けたところもありませんが、鉄製やチタン製に比べて良いところ取りのようなバランスの良さがあります。
今回ご紹介するAPS-48DXもステンレス製の薪ストーブです。
ホンマ薪ストーブAPS-48DXの商品詳細
ホンマ製作所は昭和8年創業の新潟県の会社です。“火”と“煙”に関連する製品を専門に製造と販売をしています。薪ストーブを中心としペレットストーブや薪ストーブ関連のアクセサリーやメンテナンス用品も揃えることができるとても良心的なメーカーです。
- 本体サイズ:W280×D480(煙突口までD520)×H445(煙突含:D655×H1830)㎜
- 素材:ステンレス
- 重量:約6.9kg(本体のみ:約4.6kg)
- 生産国:日本
- 煙突位置:背面
- 煙突直径:100㎜
- 薪最大長さ:400㎜まで投入可能
- 最大熱出力:3000kcal
- 暖房面積:10~15坪
- 付属品:エビ曲90度1個、半直筒(全長455㎜・有効寸法375㎜)3本、専用トップ1個
脚4本、煙突支えセット一式
※収納バッグやケースは付いておらず、別売りでバッグがメーカーから販売されています。
ホンマ薪ストーブAPS-48DXの特徴
①三面ガラス構造
正面と側面2カ所の窓ガラス越しに炎を愉しむことや、火の燃え具合を確認することができます。焚き火に似た感覚を与えてくれるとともにより、ダイナミックな炎を見ることが可能です。窓ガラスはとても厚みがあり丈夫にできています。中には窓ガラスの無い薪ストーブもあるため、使用するにあたってはこの点が一番の高いポイントであると私は思います。
②煙突口が背面+煙突トップには高さが出る
煙突3本が標準装備されています。煙突を組み立て専用トップまで組み立てると、高さは最大で183㎝程度となります。人の背丈を超える場合が多いためあまり高さのないテントでは薪ストーブをテントインしやすいことや、屋外で使用しても煙が洋服や髪の毛に掛かることがとても少ないです。焚き火後の煙の臭いが付きにくく、臭いが苦手な方でも快適に過ごせるためオススメです。もちろん高さを出すことで洋服やテント幕への火の粉対策にもなります。
また煙突口が背面にあることで長さが出てしまいますが、天板が広くなっている構造です。
③煙突下側で煙突支えセットが付属
煙突に高さが出ると風などで不安定になる心配がありますが、エビ曲90度筒と半直筒の接続部で輪を通し、2本の脚を取り付ける煙突支えセットが付属しています。この脚はペグダウンが可能で、煙突の左右だけでなく前後の不安定さも解消してくれます。構造上地面の凸凹具合によってはキレイに真っすぐ煙突を立てることが難しい場合もありますが、大きく煙突が倒れてしまうことが防いでくれ、本体自体の転倒にも貢献します。
④ストーブ本体の4本脚
ストーブ本体には4本脚が付属し、高さを約300~450㎜の範囲で無段階に調整可能です。最大に高くすることで下側に薪を置き、熱で良く乾かしてから薪ストーブに入れることでよく燃えます。朝方に湿ってしまっても、燃やしながらある程度は乾かすことができます。
⑤伝統的な時計型薪ストーブのデザイン性+ステンレス製
時計型であることで調理は手前側と奥側の2カ所で行うことができます。奥側はよりスペースが広くなり便利です。薪をたくさん投入するダイナミックを持ちながらもその構造から可愛さもあります。
ステンレス製なので使用するごとに徐々に表面が焼けてきます。この変化が毎回起こるためどのように変化するかとても楽しみです。屋外で使用する際などに熱が強いと、夜間には本体が赤く光ることもあります。
そのデザイン性から可愛さもありながらもどこか玄人好みにも合う幅広いキャンプギアであると思います。
オススメ付属品
①延長用煙突
煙突は直筒(全長910㎜・有効寸法830㎜)と半直筒があります。薪ストーブをテントインする際には火の粉の対策をするために高さを出して煙突トップからある程度離さなければいけません。概ね1m以上と一般的には言われているようです。
また私はタープ下で使用するときもあるため背面から横にも煙突を伸ばします。効率良く燃焼するためには上手く煙の上昇気流を利用しなければならず、煙突の長さにおける横:縦の比率は横1:縦2の比率で最低限設定しなければならないようです。例えば横に1m伸ばせば縦は2m以上にしなければなりません。上昇気流が発生しない場合に燃焼効率が悪くなってしまうだけでなく、逆流が発生し薪投入口から煙が漏れ出す危険性があるため注意が必要です。
使用用途により必要な分の煙突の長さを計算し追加していくことも必要です。
※煙突は純正でなければ接続できないため詳細はホームページを参照。
https://www.honma-seisakusyo.jp/shopdetail/000000001150/
②自在煙突支え、ステンレス二つ割り
上記の煙突の延長によって支えを増やすことが必要です。
まずは横に煙突を増やす場合には自在煙突支えを追加することで脚を増やす増やすことができ横向きの煙突と本体がだいぶ安定します。
次に縦に追加し高さを出す場合には二つ割りが必要になります。左右からネジで固定できカラビナなどで接続するとガイラインを繋げることができるため風向きなどを考慮した上で地面にペグダウンすると安定します。私は付属3本よりも高さを出す場合には必ず使用し安定させています。
※こちらも詳細はホームページを参照ください。
https://www.honma-seisakusyo.jp/shopdetail/000000001150/
③焚き火シート、スパッタシート
APS-48DXは他の薪ストーブと比較して比較的脚が長く、地面から高さが出やすい構造です。しかし薪ストーブ自体の熱源が強いため高さがあるものの芝生などを傷める危険性があります。薪を投入する際や位置を変える際に燃えている薪の破片が落ちてしまうこともあります。
また雪中キャンプなどでは下側の雪が溶けやすくなってしまうため、主に耐熱性が高く暑さのあるカーボンフェルト生地のシートなどがオススメです。
④煙突ガード
テントインする際には必ず煙突ガードの使用が必要です。TC素材でも高温になることで溶かしてしまうことがあるため注意が必要です。私の場合は他社製品の煙突ガードを使用していますが、現在はホンマ製作所から専用の煙突ガードが販売されているようです。しかしホンマ製作所の薪ストーブは燃焼効率良く出力が非常に高いため、煙突ガードをしても火事などの危険性は伴います。テントインする場合は薪を入れすぎずに様子を見ながら稼動させ、煙突があまり暑くないよう注意する必要があります。
⑤一酸化炭素チェッカー
一酸化炭素は匂いなどがなく、テント内へ充満しても気づき難い特徴があります。自分の身を守るためにもテント内ではチェッカーの使用が必要です。安価な海外製の一酸化炭素チェッカーはしっかり作動しているか疑問な物も多いのが現状です。少し値段が張るものの日本製のチェッカーのほうが低値からしっかりと作動し自分の身を守ってくれます。しかしながらチェッカーに頼りすぎず、テント内で使用する際には十分に換気するよう心がけてください。
⑥煙突用ワイヤーブラシ
薪ストーブのメンテナンスは主に煙突部分と煙突トップ部分に必要です。主に煙突には煤がたまりやすくなっているためこまめにワイヤーブラシで内側を搔き出しメンテナンスが必要です。私も毎回でなくても2~3度使用毎に1回はするようにしています。
⑦収納ケース
メーカーからバッグが別売りで販売されていますが、少し重量感があるため、私はホームセンターで販売されている灯油缶の収納ケースを使用しています。本体の中にエビ曲90度と煙突トップを収納し、本体の脚は最大限短くすることで収納可能です。煙突支えセットをその側方へ、本体の上側へ半直筒の煙突3本は収納することが可能です。
ホンマ薪ストーブAPS-48DXのおすすめポイントとデメリット
①比較的安価な価格設定
今から薪ストーブの購入を検討されている方にとって、薪ストーブは比較的費用が掛かるものと思われます。3~4万円程度の薪ストーブも市場には多い中、APS-48DXは25,000円程度で購入でき、店舗によっては2万円以下で販売されているところもあります。予算を抑えたい方やまず導入してみたい方には購入しやすい価格設定となっています。
②ステンレス製のしっかりとした素材と経年変化の楽しみ
ステンレス製の薪ストーブは耐久性や熱出力のバランスが良いように感じます。私は購入してから3シーズン目に突入しましたが、歪みなど無くまだまだ現役です。使用するごとに錆び具合いや焦げ色も徐々に付き始め、他にはない自分のオリジナルのキャンプギアへと成長していきます。サイズが大きめなので比較的大きい広葉樹もしっかり投入することができます。屋外で暖を取っても快適に過ごすことができます。デメリットしてサイズが大きいことで持ち運ぶ際にはあまりコンパクトにならず重量もそれなりにあります。
③調理しすい薪ストーブ
時計型の構造であるため手前と奥側の2カ所で煮炊きが可能です。アルミクッカーやステンレスクッカー、鉄板での調理がとても向いています。網を乗せることで焼き物なども可能です。鍋物や煮込み料理などは特に向いていますし、鉄板を乗せて肉を焼くことも可能です。私の場合は網でパンやお餅を焼くことも多いです。しかし火加減の調整が難しいため、特に弱火にしたい際は難しさがあるように感じます。
④悪天候時に焚き火を楽しみたい方へ
せっかくのキャンプも、天候が悪くなってしまって焚き火ができないこともあると少なからず思います。煙突を伸ばせばタープ下でも焚き火を快適に楽しむことができます。風が強い日には焚き火をすることで火の粉が飛んでしまうことや炎が不安定になってしまうなど、焚き火を行うことでの危険性が増してしまいますが、薪ストーブはそのような危険性を軽減させると同時に安定して炎を見ることができます。
この点から、薪ストーブは冬場のみでなく秋から春へと3シーズン活躍できるものだと思います。
おわりに
今回はホンマストーブセットAPS-48DXについてご紹介させていただきました。ステンレス製の頑丈さや経年変化、扱いやすさから長く使えるものであると同時に、お求めやすい価格設定から初めての方でも安心して導入しやすい薪ストーブであると思います。
また冬キャンプでの使用のみでなく、幅広いシーズンで大活躍できるキャンプギアであり、私自身もよく使用しています。毎回焼き色がついていくのがとても楽しみです。
冬場でも快適な空間を作り上げる非常に便利なキャンプギア、薪ストーブ。皆さんの中で導入を検討されている方がいれば、換気や火の扱いには注意をした上で、自分なりのキャンプギアに染め上げる楽しさをぜひ感じてほしいと思います。